Shiro Kawai
shiro****@lava*****
2007年 7月 2日 (月) 10:43:45 JST
Schemeの次期標準、R6RSの批准候補が出ました (R5.97RS) http://www.r6rs.org/ R5RSまでと異なり、言語仕様、標準ライブラリ、付録、根拠説明(rationale)の 4部に分かれています (rationaleはまだ批准候補ではありません)。 重要なパートは言語仕様(91pp)とライブラリ(70pp)ですね。 全部ひっくるめて50ppだったR5RSに比べると大層な太りようですが、 これも時代の要請でしょうか。 さて、この候補に対してこれから投票が行われ、6割以上の賛成が 集まればこれが正式なR6RSとなります。賛成が6割に達しない場合は Steering comitteeがどうやり直すかを決めます。 投票はSchemeの将来に関心がある人なら誰でもできますが、あらかじめ 登録する必要があります。 http://www.r6rs.org/ratification/ からフォームを落とせます(http://www.r6rs.org/ratification/registration.txt) 記入項目のうち、statement-of-interest には、150語以上で なぜScheme/R6RSが自分にとって重要なのかを述べる欄があります。 思いのたけをぶつけてください (実際は、メカニカルな登録/投票を 防ぐバリアですが)。 登録と投票の日程は上のratificationのページに書いてありますが、 7/14登録締切、7/28〜8/11投票、8/25結果発表です。 なお、今回の候補がR6RSになった場合、GaucheはR6RSのサポートを 次のように考えています。 - Gaucheはいずれ次の3つのモードを持つことになるでしょう: -- R5RS, SRFI, これまでのGaucheと互換性のあるtraditionalモード。 R6RSの機能は、非互換性を持ち込まない限りにおいてサポートされます。 例えばこのモードでも、syntax-caseなどは使えるようになるでしょう。 -- R6RSで定義される構文などを認識する、r6rs-compatibleモード。 例えば #,expr はSRFI-10ではなく(unsyntax expr)の省略形と 読まれます。R6RSプログラムはこのモードでそのまま実行できる はずですが、R6RSで要求されている厳密なエラーチェックなどは 行われないかもしれません。 -- R6RSに厳密に従う、r6rs-strictモード。 こちらはエラーチェックも含め、R6RSに厳密に従うモードです。 Gaucheの拡張構文などはエラーになります。R6RSポータブルな コードを書きたい人向けです。 このモードのサポートはずっと後になるかもしれません。 モードはソースコードのload単位で切り替えられます。traditional モードからR6RSライブラリを読み込んでも、ライブラリを読んでいる 間はr6rs-compatibleモードになる、といった具合です。 traditionalモードとr6rs-compatibleの違いは、たぶん表面的な 構文の違い程度に収まるんじゃないかと予想しています (実装して みないとほんとのところはわかりませんが)。 当面、デフォルトはtraditionalモードとします。 --shiro