matsuand です。 man ページ翻訳時の留意事項として、 備忘録的に示しておくことにします。 man ページを翻訳してこられた方には、 熟知されているところかもしれません。 まず、直近で nginx なるパッケージに関しての man 翻訳校正依頼をあげました。この中で 根本的(致命的)な誤りを見つけました。 以下の箇所です。 [原文] .It Pa /usr/logs/nginx.pid Contains the process ID of .Nm . The contents of this file are not sensitive, so it can be world-readable. [訳文] .It Pa /usr/logs/nginx.pid .Nm のプロセス ID を保持します。 このファイルの内容は機密情報ではないため、 だれでも見ることができます (world-readable です)。 誤りがお分かりになるでしょうか? "/usr/logs/nginx.pid" なるパスです。これは FHS 的に 言って、ありえないディレクトリです。なぜこうなったのか。 私のオリジナル man ページの準備ミスです。 一般的に言って、オリジナル man ページは、当該 パッケージの tarball に、出来合いのものが用意されて いる場合もありますし、コンパイル処理を通じて動的に 生成される場合もあります。さらに後者の場合、その manページ内に、各種のパス表現が含まれていて、 そのパスは、ソースビルドした際のローカルディレクトリを そのまま含めるケースがあります。詳述省略。 当 nginx の場合、man ページは動的に生成しなければ ならず、私は以下のようにして configure および make を行って、man ページを得ていました。 ./configure --prefix=/usr \ --conf-path=/etc/nginx/nginx.conf \ --error-log-path=/var/log/error.log make -f objs/Makefile objs/nginx.8 configure にたくさんパラメーター指定を行っていますが、 じっくりと man ページ翻訳に取り掛かっていると、 この configure 指定が必要になることが分かってきます。 なぜなら、上で登場する prefix, conf-path, error-log-path は、いずれも man ページ内に %%PREFIX%%, %%CONF_PATH%%, %%ERROR_LOG_PATH%% という記述が存在していて、これがコンパイルを通じて 動的に書き換わるようになっています。 そこで「FHS的」に標準的なパスを指定する必要 が出てきます。 このような man ページは他にもよくあります。 私はその際に、%%PID_PATH%% なる ものが存在していたことを見落としていました。 それが "/usr/logs/nginx.pid" という、ありえない パスが含まれてしまった原因です。 configure 処理は、 改めて以下のようにしなければなりません。 ./configure --prefix=/usr \ --conf-path=/etc/nginx/nginx.conf \ --error-log-path=/var/log/error.log \ --pid-path=/var/run/nginx.pid この説明内容、お分かりいただけるでしょうか? man ページ翻訳者は、翻訳対象とするオリジナル man ページを特定する際に、このようなことに 気を配る必要がある、という話です。 不明であれば、当MLにて相談をあげるなどの 対処が必要になるかと思います。