OSDNの根幹ポリシーと三点の方針変更について
2015-07-24 13:50

本サイトがOSDNへとサイト名称を変更して二ヶ月が経過しましたが、ここでサイト設立時から不変の根幹ポリシーおよびサイト名称変更を契機として定めた三点の方針について説明致します。

根幹となるポリシー

2000年に現在OSDNを支えている運営組織の前身となる組織が発足した当時、我々はオープンソース・コミュニティによるオープンソース開発には3つの「D」、Develop(開発)、Distribute(配布)、Discuss(議論)が欠かせないものであると位置付けました。そして、その3つの「D」を支えるための中核となるサイトとしてOSDNの前身となるサイトが生まれました。

それから10年以上の年月が経過し、オープンソースを巡る環境は劇的に変化を続けていますが、今も昔もコミュニティにおいてこの3つの「D」の重要性は変わっていません。OSDNでは、全てのオープンソースを愛するコミュニティに対し、この3つの「D」を支えるための機能の提供を無料で行い、活動を支援し続けることを根幹のポリシーとしています。

国際化の推進

旧称の時代では、OSDNはあくまで日本向けのサービスと位置付けられ、日本人開発者の本家サイトへのステップアップのためのサイトという側面が強い時代も長くありました。そのため、全てのシステムにおいて日本語が第一優先とされ、ある程度の前提知識があれば開発活動への参加に困ることがない程度にほぼ英語化と言える国際化対応がされていたものの、日本語しか対応していないツールの存在やヘルプ、メッセージの不備といった問題がありました。

そこで、今後OSDNでは、サイトの国際化をより進め、主要言語への完全な対応を行うことで、複数人の非日本語話者だけでの開発およびコミュニティ活動を違和感なく可能とすることを目指します。なお、現在は英語ヘルプの充実やシステムの英語対応の完全実装に向けての作業を進めています。

開発者向けのサービスとの連携

OSDNでは、前述した3つの「D」を実現するために、その時々で一般的に使用されるようになったと思われるツールの機能を実装していくというスタンスを取ってきました。Wiki、チケットシステム、リポジトリのForkといった機能は、この流れにおいて必要と判断された時点で実装されたものです。

しかしながら、現在では ソフトウェア開発の分野にいても様々なツールやSaaSを組み合わせて利用する開発形態が一般的になりつつあり、必要とされる個々の機能の全てをOSDN上のみで実現していくというサービス形態は効率がいいものとは言えなくなってきています。そこでOSDNでは、OSDN以外の開発者向けのサービスやツールとの連携をより重視し、柔軟な利用方法が取れるシステムとなることを目指します。

開発者への報奨

オープンソース・ソフトウェアの開発にも、何らかの金銭、労働力、時間的等、様々なコストが発生します。そのため、旧来よりオープンソース開発に対して、このようなコストをどういった形で継続的に捻出するか、特に金銭面でどのような形で報いるべきか?という議論が数多くありました。

開発プロジェクト自身が金銭を受け取る方法として、古典的にはGoogle Adsenseなどの広告や個人、企業からの寄付といったものがありますが、著名な大規模なプロジェクト以外では十分な収入を得ることは難しく、収益の安定性に欠けるという問題点があります。また、最近ではプログラムのインストーラにアドウェアを同梱する手法を採用するプロジェクトも一部存在します。十分な収入を継続的に得ることが難しいオープンソースの開発現場における広告収入の手法の一つとして、それを全面的に否定するものではありませんが、ユーザからの反応や最近の他サイトで発生した騒動なども踏まえると、このような手法が一般的に否定的に捉えられていることも事実です。

これらのオープンソース開発における継続的なコスト問題のための完全な解決策はまだ残念ながら持ちあわせていませんが、OSDNにおけるその一つの方法として、利用者の多いソフトウェアを抱えるプロジェクトに対して報奨金を提供する制度の模索をしています。今秋には簡易な暫定ルールを定め、テストケースとして期間を限定し、プロジェクトへの報奨金制度を実施することを目指しています。

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