ミッシングトゥースクランクトリガーは、多くのメーカーのOEMが標準的に採用しているクランク角検出方式です。またアフターマーケットのECUでも採用例が多いポピュラーな方式です。 これは一定数の等間隔のトリガー歯を有するクランクホイールと、1つ以上の「欠歯」とで構成されます。 一般的なトリガー歯数と欠歯数の組合せは60-2、36-1、24-1、12-1、4-1です。 ミッシングトゥースではこの様に二つの数字を組み合わせ、歯数と欠歯の数を表現します。最初の数字は欠歯を含めた歯の総数で、ハイフンの後の数字が欠歯数を表します。 例えば「36-1」では実際の歯数は35で10度等間隔に並び、欠歯が一つという事を表しています(欠歯の前後のトリガー歯の間隔は20度)。「36-2」では10度間隔のトリガー歯が34と欠歯が2で、欠歯の前後のトリガー歯の間隔は30度となります。
註)第3の数字(例えば、36-1-1)がある場合欠歯は連続しておらず、欠歯と欠歯の間に一つ以上のトリガー歯がある方式となります。しかしPJSCではこの様な欠歯が複数の方式はサポートしていません。 また「36/1」という表記の方式もあります。この場合スラッシュの後の数字はカムの歯を表しています。これは欠歯ではないので混同しないよう注意して下さい。
ミッシングトゥースクランクホイールは事実上すべてのエンジンで使用可能で、アフターマーケットECUでは最もポピュラーな方式です。 トリガー歯数が多くなるほどクランク角検出の分解能が高くなり、CPUに高い負荷を掛けずに制御タイミングの精度を上げる事が出来ます。
ミッシングトゥースデコーダはカムセンサーも追加する事で、シーケンシャル制御を行う事が出来ます。燃料噴射タイミングにシーケンシャルモードが選択されている場合、PJSCはカム信号が入力される事を前提にタイミングを決めます。よってカムセンサーが無ければ正しく同期出来ません。 カムセンサー信号は1サイクル当たり1のパルスの信号でなければなりません。カム歯が極短い(狭い)物か半月型の場合、電気的に1サイクル当たり1つの立ち上がり(または立ち下がり)エッジしか出力されない事があり得ます。
カムミッシングトゥースデコーダーは、シングルホイールでありながらデュアルホイールと同様の機能を実現出来ます。カムまたはディストリビューターにミッシングトゥースホイールを装着し、位相を同期させてシーケンシャル制御を可能にします。 カムミッシングトゥースの動作はミッシングトゥース(クランク装着)とデュアルホイールの両方に共通しています。 最初にこれらのセクションを読んで、理解することをお勧めします。本セクションでは、ミッシングトゥース(クランク装着)とデュアルホイールとの違いのみ解説します。 このデコーダはクランク装着ミッシングトゥースと同様に、シングルカムホイールで構成されています。トリガー歯の数は720°を均等に割り切れる数である必要があります。 カムホイールはクランクホイールの半分の角速度で回転し、センサーはクランク1回転(360度)でカムホイールの半分のトリガー歯を検出し、次の1回転で残り半分のトリガー歯を検知します。 ミッシングトゥースはクランク2回転につき1回検出され、デュアルホイールデコーダーのカム信号と同様に位相を同期させる為に使用されます。
カムホイールには、最低でもシリンダー数と同数のトリガー歯がなければなりません(欠歯を除く)。一般的にはシリンダ数の2倍以上のトリガー歯数を必要とします。クランク角検出の分解能が高くなるよう、出来るだけ多くのトリガー歯を設置する事を推奨します。スペースの問題で一般的に、クランクホイールに比べてカムに設置するホイールは直径が小さくなります。この為、クランクホール方式と比べて、センサーはより小さいトリガー歯または近接したトリガー歯を確実に読み取れる性能が必要になります。 カムホイールでは、クランク1回転でも半分のトリガー歯しか読み取られません。またクランクの角速度は常に一定ではなく1回転する間にも角速度が変動します。これらの要因の為、カムホイール方式はクランクホイール方式に比べて角度検出、タイミング検出の精度が劣ります。 1回転中の角速度変動率はエンジンの仕様によって異なる為、どの程度の誤差が生じるかは一概には言えません。
このデコーダは2つのホイールがある場合に使用されます。 プライマリホイールの回転速度はクランクの回転速度と同じでなければならず、またミッシングトゥースではない必要があります。セカンダリーホイールはクランクまたはカム何れに装着しても良く、歯数は1つだけでなければなりません。センサーがセカンダリーホイールの歯を検出して出力するパルスはカム位相と同期する為の物で、トリガーと区別する為にシンクパルス(sync pulse)と呼びます。 この方式では、シンクパルスが検出された後に最初に検出されるプライマリーホイール上のトリガー歯がインデックストリガーと定義されます。 プライマリホイールがクランクではなくカムに装着されている場合、Tuner Studioのトリガー設定でプライマリーホイールの歯数を2つに分割してクランク速度を取得します。例えば歯数24のプライマリーホイールがカムに装着されている場合、Primary base teethに12を入力します。
これにはシリンダ毎の行程を同期する信号がありません。 ミッシングトゥース或いはシンクパルスが無い場合、PJSCはクランク角、サイクル位相、またはシリンダ割り当てを計算出来ません。点火信号を適切なシリンダーに送るために、ディストリビューターを必要とします。 この信号は機械式接点、機械式ディストリビューターが使用されていた車両の様に、クランクシャフト1回転につき1パルスの非常にシンプルなもので構いません。
このデコーダーはGM、で多く採用されている方式の一つです。この方式では、6つの等間隔のトリガー歯と1つの不等間隔のトリガー歯を持つトリガーホイールを使用しています。不等間隔のトリガーは合計7つのトリガーの内の、3番目のトリガーとして識別されます。
4G63トリガーは三菱やマツダの4気筒エンジンで使用されています。この方式はクランクとカムの二つトリガーを、ホールセンサ或いは光学センサによって検出しています。
通常はトリガーアングルの変更は不要(Trigger Angle = 0度)ですが、純正のトリガーホイールにはトリガーとトリガーの間隔に若干のバラつきがあります。バラつきが大きい場合、Trigger Angleに値を入力して、タイミング補正を補正する必要があります。
この方式のトリガーホイールは、は広いトリガー歯と狭いトリガー歯12本ずつ、合計24本のトリガー歯を持っています。狭いトリガー歯の幅は3度、広いトリガー歯の幅は12度あります。全ての立ち下がりエッジの間隔は15度となります。 このデコーダは立ち下がりエッジでトリガーを検出する為、クランク角を識別するためにカム信号が必要です。
===3.8.1 概要 クランクホイールとカムホイールから信号を得る方式です。クランクホイールセンサーは120度毎に4つのパルスを出力します。4つのパルスの間隔は20度です。カムホイールはクランク角360度または720度で1回回転し、パルスは180度または360度の間Hiレベルになります。
アウディ135デコーダーはアウディV 6、I 5、I 4 Tなど、1回転あたり135パルスのトリガー信号を使用するエンジンの為のデコーダーです。
ホンダD17デコーダーは、12 + 1クランクホイールを使用するホンダ系エンジンに使用されているデコーダーです。4 + 1カム信号は現在PJSCではサポートされていないため、セミシーケンシャルおよびグループ噴射のみ使用可能です。
ほとんどの場合トリガーアングルの変更は必要ありませんが、OEMバージョンのトリガー間隔には若干のばらつきがあるため調整が必要になる場合があります。エンジンが始動したら点火タイミングを固定にして角度を設定し、タイミングライトで点火タイミングを確認して下さい。点火タイミングがずれている場合、トリガーアングルを調整して下さい。
クランクホイールは等間隔に配置された12個のトリガー歯と、インデックストリガーの位置情報を与える13番目のトリガー歯で構成されています。この13番目のトリガー歯の後に来る最初のトリガー歯が#1(インデックストリガー)として識別されます。
MY99以降、Miatasは新しいトリガーパターンに移行しました。これは4g63で使用されていたものと似ていますが、よりノイズ耐性が向上しています。また可変カムタイミングが採用されたエンジンでは、クランク信号に対してカム信号の位相も可変となります。この方式は可変カムの位相変化にかかわらず、同期信号(Sync)を識別出来るので可変カムタイミングが採用されているエンジンに適しています。 トリガーは、クランクシャフトに配置された4歯ホイールとカムに配置された3歯ホイールで構成されています。二つのホイールの歯は不均等な間隔で配置されています。
1999年から2005年までのNB Miatasに適用されます。
このデコーダーではトリガーアングルを変更する必要はありません。また殆どの場合、トリガフィルタリングはオフまたは弱に設定して下さい。 Starting/IdleメニューのCranking Settings でクランキング設定ダイアログを開き、Fix cranking timing with triggerオプションをOnに設定します。
クランクホイールには、クランク角70度と110度で分割された4つのトリガー歯があります。 同期パルス(Sync pulse)は1サイクル当たり2つあり、分割されたクランクパルス(Primary pulse)の間に発生するカムパルス(Secondary pulse)の数によって識別されます。2パルスのカムパルスの後の最初に発生するクランクパルスは6番目のトリガー歯(Tooth #6)として識別され、1パルスのカムパルスの後の最初に発生するクランクパルスは2番目のトリガー歯(Tooth #2)として識別される。Tooth #1はBTDC10度の位置にあり、Tooth#2とTooth#6のみでは直接識別する事は出来ません。VVTによってカムシャフトタイミングが変動しても、カムパルスによる同期パルス識別ウィンドウは機能します。よってVVT値に関係なく、同期パルスはすべての負荷と速度で識別可能です。
これはトリガー歯数が360度を整数で割り切れないデュアルホイールで使用するデコーダです。このデコーダは特定のブランドやエンジンシリーズに固有のものである為、以前は『Audi 135デコーダ』等、タイプを識別する為の名称で呼ばれていました。このデコーダは様々な歯数で使用出来ますが、すべての歯数の組合せをこのデコーダーでカバー出来る訳ではありません。
Nissan 360 CASトリガーは、日産の4気筒あるいは6気筒エンジンで使用されているデコーダーです。 カムに同期して回転するホイールに360のウィンドウを持ち、光学センサーでトリガーを読み取ります。 各ウィンドウ幅はクランク角度2度となります。位置情報については、シリンダー数に等しいウィンドウの内側リングもあります(4気筒エンジンでは4ウィンドウ、6気筒エンジンでは6ウィンドウ)。 注)4気筒CASには複数のバージョンがあり、現在、全てがサポートされている訳ではありません。既知の各バージョンについて以下の通りです。
Daihatsu +1のデコーダーは、ダイハツの3気筒エンジンと4気筒エンジンで使用されています。この方式はホールセンサと単一のカムホイールで構成されています。この信号はPJSCのVR1ピンに入力します。
? TBA(3気筒) ? TBA(4気筒)
Trigger SettingsダイアログのTrigger Patternプルダウンメニューにて、『Daihatsu +1』を選択して下さい。それ以外の項目の設定は不要です。
ほとんどの場合トリガーアングルの変更は必要ありませんが、OEMバージョンのトリガー間隔には若干のばらつきがあるため調整が必要になる場合があります。エンジンが始動したら点火タイミングを固定にして角度を設定し、タイミングライトで点火タイミングを確認して下さい。点火タイミングがずれている場合、トリガーアングルを調整して下さい。
3気筒エンジンではクランク角が0、240、480度の等間隔で3つのトリガー歯があり、更にクランク角30度の位置にインデックストリガーを識別する為のトリガー歯が一つあります。 4気筒エンジンは等間隔のトリガーが4本である事以外、3気筒エンジンと同様です。クランク角0、30、180、360度の等間隔で4つのトリガー歯と540度に一つのトリガー歯があります。
36-2-2-2のデコーダーは、2000年以降の多くのスバル4気筒エンジン共通の方式です。 この方式のクランクホイールは、クランク角10度毎の36個のトリガー歯と2個の欠歯が3か所あります。これら3つの欠歯グループは、クランク1/2回転以内に同期(Sync)を識別可能にします。 初期の方式はVRセンサーによりトリガー信号を出力していましたが、スバルが可変バルブタイミングを採用してからセンサーもホールセンサーに変更されました。 殆どの場合一つか二つの4-1カムセンサーと組合せて使用されますが、PJSCでは同期の為にカムセンサーは必要ありません。
2つの欠歯の3組の内、2組は1本のトリガー歯を挟んで隣接して配置され、残りの1組は180度反対側に配置されています。同期パルスの検出アルゴリズムは、2組の欠歯を検出して次に検出された1組の欠歯の直後のトリガー歯をインデクストリガーと識別する事で同期(Sync)をとります。 シリンダー#1のTDC、1組の欠歯から4番目のトリガー歯のタイミングでとなります。PJSCは欠歯の周期を監視し、予測出来るウィンドウの期間内に次の欠歯が続くかどうかを確認します。従って、同期は1回のクランク回転において2箇所で識別する事ができる。 注)オンラインで入手できる図やトリガーホイールの画像の多くはホイールを裏側から見たもので、反時計回りに回転しているように見えるので注意が必要です。歯の期間は、その後、それが別のものが続くかどうかを確認するために待機します。したがって、同期はこのようにして決定できます。